本日は、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)から環境問題について考えていきます!
東京五輪、パーム油調達基準が抱えるリスクと課題(2018/3/23の記事)
東京五輪の選手村の食堂や、競技施設のフードコートで使用される油の調達基準についての記事となっています。
東京五輪の木材調達の問題についても書いています。
東京五輪から地球を考える2をご覧ください!
まさに私たち日本人が、来たるべき2020年の東京五輪で口にする油であり、世界各国から集まる選手を含めた多くの外国人も同じです。
2020年東京五輪では「持続可能性に配慮した大会に」という理念から、今回の大会から初めてパーム油の調達基準を設けているのです。
まとめられた基準案には、
①生産された国、または地域における農園の開発・管理に関する法令等に照らして手続きが適切になされていること。
②農園の開発・管理において、生態系が保全され、また、泥炭地や天然林を含む環境上重要な地域が適切に保全されていること。
③農園の開発・管理において、先住民族等の土地に関する権利が尊重されていること。
④農園の開発・管理や搾油工場の運営において、児童労働や強制労働がなく、農園労働者の適切な労働環境が確保されていること。
の4つの基準が挙げられました。
これを見ると、生産国の生態系や自然環境の保全に加え、先住民の権利や労働環境などを適切に確保しようという動きであることが分かります。
持続可能性に配慮した基準には、人権保護の意味も含まれているのですね!
しかしこの基準に本当の意味での実効性はあるのか?が少々疑問です。
上記の④で児童労働や強制労働がなくと記載がありますが、この基準で活用可能とされている各国の認証制度「マレーシア・サステイナブル・パーム・オイル」(MSPO)や「インドネシア・サステイナブル・パーム・オイル」(ISPO)には強制労働に関する禁止規定がないのです。そのため不透明な部分も多く、また、実際には基準自体が満たされていないにも関わらず、東京2020委員会は「活用できる」としてしまっているという問題があります。
またもう一つの問題は、上記の基準があるにもかかわらず、非認証油(基準を満たしていないパーム油)を認証油混ぜることが現在の基準案では可能とされている点です。これは最終的に混合されたパーム油が基準を満たしていなくても問題ないということになってしまいます。
さらに調達基準案の中には認証パーム油の確保が難しい場合には、生産現場の改善に資するものとして、これらの認証に基づき、使用するパーム油量に相当するクレジットを購入する方法も活用できることとするという記述があります。
※「これらの認証」とはMSPOとISPOのことです。
これでは「持続可能性に配慮した」とは名ばかりで、本来の意味を成さないですよね・・
1990年代、世界的な環境保護への関心の高まりが五輪にも影響を与え始め、当時の国際オリンピック委員会のサマランチ会長は「『環境』はスポーツ、文化と並ぶオリンピック精神の3本柱」と位置付け、94年には「環境」という文言がオリンピック憲章の中にも加えられています。
東京五輪においては持続可能性を掲げる責任を持ち、環境への配慮に真摯に取り組む必要があり、それによって大会自体もより盛り上がりをみせ、本当の意味での東京五輪の成功につながるのではないでしょうか?
Higuma
下記写真は弊社スタッフが撮影したパーム油工場の写真 です。
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